チラチラと日差しが目を刺す

ビルのあいだ

チラチラと視線が痛いな

同じ歳ぐらいかな

 

窮屈な車窓の 映る駅を過ぎて

スマホ越しの髪が 揺れてる

日差しのせいかな

 

イヤフォンから音がずっと漏れてる

気になって 気になって

不意に目を馳せる

気になってた君の視線のその先は

吊革を つかむ手を 腕を

たどる先の汗

​

思いがけずに つかんでた吊革を

離してみたり 手で隠してみたり

…って

それはそれで気まずいねって

思いとどまってみて

気づかぬフリしてみたり 息を飲んでみたり

 

束ねた毛先や

今朝巻いた睫毛や

唇は

目にもくれず

 

次の駅が来たら 席が空くかもしれない

さっきより体が熱いな

日差しのせいかな

 

ワイシャツの糸がちょっとほつれてる

気になって 気になって 不意に目を馳せる

だからってさ 君の視線のその先は

夏服の白線を 袖を たどる先の汗

 

少し傾けた首が

隣の肩に触れそうになる度 車両が揺れる

目を塞いで うつむいても

音が強く流れてきた

 

イヤフォンから音が ずっと漏れてる

気になって 気になって

何度も目を馳せる

長いまつ毛が また 瞬いてる

気になって 気になって

何度も目を馳せる

切れ目がちな 君の視線の その先は

夏服のファスナーを

隠れてた二の腕を

襟端の白線を

首元を伝う汗を

耳元のヘアピンを

赤らんだこの頬を

超えて 遂にぶつかる

 

視線